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在宅介護・高齢者ケア

要介護認定の訪問調査|当日の流れ・準備・聞かれること

公開: 2026年10月18日

要介護認定の訪問調査|当日の流れ・準備・聞かれること
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。 症状や対応については、主治医・かかりつけ医、または専門の相談窓口にご相談ください。

親の要介護認定を申請すると、やがて訪問調査(認定調査)の日程が届きます。「何を聞かれるのだろう」「本人が『自分でできます』と答えたらどうなるのか」と不安になる方は多いと思います。

この記事では、介護認定調査に携わる看護師・介護福祉士が、調査の前に準備すること、当日の流れ、聞かれること、ふだんの様子の伝え方を順に説明します。

要介護認定の訪問調査とは|誰が・どこで・どれくらい

訪問調査は認定の「最初の入口」

要介護度は、「介護の手間の総量」を示す要介護認定等基準時間をもとに判定されます。訪問調査の結果は、その判定の最も基本的な資料と位置づけられています(厚生労働省「認定調査員テキスト2009改訂版」)。

見られているのは「できる・できない」だけではありません。どんな介助が、どれだけ必要かです。

来る人・場所・所要時間

新規申請の場合、調査に来るのは市町村の職員か、事務を受託した法人の調査員です。更新や区分変更では、研修を修了したケアマネジャーなどに委託されることもあります。調査員は守秘義務を負い、訪問時に身分証を提示します。提示がなければ、確認してから家に入ってもらって構いません。

場所は、原則としてふだんの状況を把握できる場所です。多くは自宅になります。

所要時間は、自治体の案内で30〜60分程度とされています(昭島市・東大和市の案内ページ)。国の規定ではないので、目安として受け止めてください。

家族の同席を勧める自治体がある

テキストでは、在宅で介護している家族がいる場合、その方が不在の日は避けるよう定められています。昭島市は「できるだけ普段の様子をご存じのかたの立ち会いを」と案内しています。東大和市は、回答が実際と異なると判定が実情に合わなくなるおそれがあるとして同席を依頼し、ケアマネジャー等の同席も構わないとしています。

執筆者の経験でも、ふだんを知る家族がいると聞き取りは正確になります。遠方で同席できない場合は、事前に市区町村や調査員に相談してください。

申請から結果までの全体像は要介護認定の準備タイムラインに、制度の基本は介護保険の基本にまとめています。

要介護認定の調査前に家族が準備すること

調査員からの日程連絡

申請のあと、調査員から日時と場所を調整する連絡が入ります。調査は原則1回で行われます。急な病気などで状態が一時的に変わっているときは、その日は行わず、落ち着いてから日を改める扱いです(認定調査員テキスト)。体調が悪い日に当たったら、連絡のときに伝えてください。

本人への伝え方

「調査」と聞くと、身構える方もいます。「介護保険を使う前の、ふだんの様子を聞きに来る面談」と伝えると、受け止めやすいように思います。本人の前で言いにくいことは、後述の方法で別に伝えられます。

入院中・施設にいる場合

病室や居室など、ふだん過ごしている場所で、病院や施設と調整して行います。看護師や施設職員からも聞き取ることがあります(認定調査員テキスト・昭島市)。入院直後で状態が落ち着かない場合は、申請の時期について市区町村から説明があることもあります。

手元に置いておくと安心なもの

申請のときに市区町村へ出した書類の控えや、届いた通知があれば手元に置いてください。介護保険被保険者証は、申請時に預けている場合もあります。必要な持ち物は、日程連絡のときに調査員か市区町村に確認するのが確実です。主治医の病院名と医師名も聞かれます。

あると役立つ工夫

ここからは、自治体が求めているものではありません。執筆者が役立つと考える工夫です。

1つ目は、ふだんの様子のメモです。食事、入浴、排泄、夜間の様子、転倒やヒヤリとした場面、物忘れで困ったことを書き出します。頻度と時間帯を添えると、伝わり方が変わります。

2つ目は、お薬手帳です。服薬の状況や通院先を確認するときに役立ちます。

本人の前で話しにくいことの扱い

本人の前では、言いにくいことがあります。調査員は、必要に応じて本人と介護者から個別に聞き取る時間を設けるよう工夫することになっています(認定調査員テキスト)。

「少し別でお話しできますか」と一言添えるか、メモを渡してよいか調査員にたずねてください。書く内容は、事実と具体的な場面に限ります。本人の尊厳を守りながら伝えて構いません。

認定調査当日の流れ|概況調査・74項目・特記事項

調査票は3部構成

調査票は3つの部分でできています(認定調査員テキスト)。

部分中身
概況調査サービスの利用状況、家族状況、住環境、傷病・既往歴など
基本調査全国共通の74項目
特記事項基本調査の選択根拠と、基準では表しきれない介護の手間

実際の進み方

あいさつのあと、概況調査、基本調査の順に聞き取りが進みます。本人と家族の双方から話を聞くのが基本です。特記事項は、聞き取りの中で出た具体的な状況や介護の手間を、調査員が調査票に書き足す欄です。

立ち上がる、歩くといった一部の動作をお願いすることもあります。体調が悪いときや危険があるときは、無理には行いません。家族が危ないと感じたら、その場で伝えて止めてもらって構いません。

最後に、調査員から確認の質問があります。言い忘れたことは、そこで補足できます。

誤解①「当日のテストで決まる」わけではない

動作をお願いされると、試験のように感じるかもしれません。しかし、当日できなかったり、いつもと違ったりした場合は、ふだんの状況を聞き取って特記事項に記載する決まりです。

調査は、その日の出来を採点する場ではありません。

認定調査で聞かれること|74項目と評価の軸

5つの群とその他

74項目は、次の5つの群と「その他」に分かれています。

群内容
第1群身体機能・起居動作
第2群生活機能
第3群認知機能
第4群精神・行動障害
第5群社会生活への適応
その他過去14日間に受けた特別な医療

誤解②「全部できるかを聞かれる」わけではない

評価の軸は3つあります。

介助の方法は、原則として実際に介護が行われているかで選びます。「やればできるはず」ではなく、ふだんどうしているかが基準です。ただし、必要な介助が受けられていない場合などは、調査員がその事情を特記事項に書き、適切と考えられる介助の方法を選ぶ仕組みもあります。ひとり暮らしで誰も手伝っていないからといって、介助が不要と扱われるわけではありません。

判断の軸は「調査日」でなく「ふだん」

立ち上がりや歩行などの動作の項目は、できたりできなかったりする場合、調査日から概ね過去1週間のうち、より頻回な状況で選びます。物忘れによる行動や昼夜逆転など行動に関する項目は、概ね過去1か月の頻度で選びます。「ない」は月1回以上の頻度では現れない場合、「ときどきある」は月1回以上週1回未満、「ある」は週1回以上です。

選択に迷うときは、特記事項に書くのが基本です。迷った項目こそ、家族からの情報が生きる場面です。

伝え方のコツ|本人が「できます」と答えたとき

否定せず、あとで「ふだんの様子」を別に伝える

緊張や、家族に迷惑をかけたくない気持ちから、本人が「できます」と答えるのは自然なことです。執筆者の経験では、遠慮や緊張からそう答える方は珍しくありません。

その場で「そんなことない」と否定すると、本人は傷つきます。まず本人の言葉を受け止めてください。そのうえで、ふだんの様子は個別の時間やメモで調査員に伝えます。

頻度・時間帯・具体的な場面で伝える

「よく転ぶ」だけでは、手間が伝わりにくくなります。「夕方にトイレへ立つとき、ふらつくことが週に何回かある」のように、場面と頻度をセットにします。

特記事項に書かれるのは、選択の根拠、介護の手間、頻度の3点です(認定調査員テキスト)。この型で話すと、ふだんの様子が正確に伝わります。

「できない」を盛らない

状態を重く見せようとする必要はありません。重くても軽くても、実際とずれると、本人に必要な支援から離れてしまいます。

調査員は中立の立場で、特定のサービスをすすめることもありません(京都市「認定調査員に求められること」)。ありのままを伝えるのが、いちばん確かな方法だと感じています。

在宅での限界を感じている方は在宅介護の限界サインを、これからの希望を家族で話し合いたい方は人生会議もあわせてご覧ください。

調査のあとの流れ|主治医意見書・一次判定・審査会

誤解③「調査だけで決まる」わけではない

市区町村が主治医に意見書を依頼します。主治医がいない場合は、指定医の診察を受けます。

基本調査の結果と主治医意見書の一部の項目はコンピューターに入力され、全国一律の方法で一次判定が行われます(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)。特記事項は、この段階では入力されません。

介護認定審査会と結果の通知

次に、介護認定審査会が、一次判定の結果、調査員の特記事項、主治医意見書をもとに二次判定を行います。基準では表しきれない介護の手間が特記事項や意見書に具体的に書かれていれば、一次判定から変更されることもあります(認定調査員テキスト)。

通知は、申請から原則30日以内です。超える場合は、京都市の例では延期通知書で理由と見込みの日が知らされます。有効期間は、届いた通知書で確認してください。

結果に納得できないときの窓口

状態が変わったとき

認定後に心身の状態が変わった場合は、区分変更申請ができます。申請先は市区町村です。手順は、市区町村や地域包括支援センターに確認してください。

結果に疑問があるとき

結果に疑問があれば、まず市区町村に相談します。調査票や意見書の内容を知りたいときは、開示の手続きについても市区町村にたずねてください。それでも納得できないときは、都道府県の介護保険審査会に審査請求ができます。期限は、結果を知った日の翌日から3か月以内です(行政不服審査法。京都市の案内も参照)。

まとめ

訪問調査は当日のテストではなく、ふだんの状況を確かめる場です。全部できるかを問われるのではなく、実際の介助の有無が基準になります。認定も、調査だけではなく特記事項、主治医意見書、審査会を経て決まります。

訪問調査に携わる立場からお伝えしたいのは、ありのままを伝えていただくことです。地域の運用は、お住まいの市区町村や地域包括支援センターで確認してください。

次のステップ

調査の前に、ふだんの様子を、頻度と時間帯つきで3つ書き出してみてください。上のメモの例のように、いつ、何が起きて、誰がどう手伝っているかが分かれば十分です。

本記事は筆者個人の見解で、特定の自治体や委託元の見解ではありません。運用は市区町村により異なります。

参考資料

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