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「看護師の夜勤がつらい」は甘えじゃない|辞めたい前に知っておきたい全選択肢

公開: 2026年6月6日

「看護師の夜勤がつらい」は甘えじゃない|辞めたい前に知っておきたい全選択肢

夜勤明けに帰りながら、「もう続けられないかもしれない」と思ったことはありませんか。

そう感じていること、甘えでも弱さでもありません。夜勤のきつさは、数字にも、研究にも、はっきりと表れています。ただ、「つらい」と感じる理由を整理せずに動いてしまうと、転職しても同じしんどさを繰り返すことがあります。

この記事では、まず職場内でできる工夫を整理し、それでも難しいときの選択肢として「夜勤なし」の働き方や転職について、できるだけ正直にお伝えします。煽るつもりも、急かすつもりもありません。まず「知ること」から始めましょう。

【結論を先に|あなたは今どの段階?】

  • まず相談でいいケース: 体調はなんとか保てている → 夜勤回数の相談・部署異動・育児等による深夜業免除を先に試す
  • 転職も検討していいケース: 工夫しても改善しない/生活リズムや家庭との両立が限界 → 夜勤なしの働き方を選択肢に
  • すぐ休む・相談すべきサイン: 眠れない日が続く・夜勤明けの運転が怖い・気分の落ち込みが取れない → 無理せず産業医・かかりつけ医・睡眠外来などへ。我慢は禁物です

詳しくは、このまま順番に読み進めてください。


夜勤がつらいのは「甘え」ではない。数字が証明している

「夜勤がきつい」という感覚を、自分だけの弱さだと思っていませんか? 実際のデータを見ると、その感覚はきわめて合理的だとわかります。

日本看護協会の調査(2024年 病院看護実態調査)によると、交代制勤務をしている看護師の60%超が「人手不足でつらい」と感じていると回答しています。日勤のみの看護師では44.8%でした。夜勤のある職場では、負担感がより高く出やすいことがうかがえます。

さらに、月72時間以上を夜間帯に働いている正規雇用看護師が全体の**34.3%**に上ります(同調査)。72時間は、9時間夜勤を約8回こなした分量です。これだけの時間を、体内時計が乱れた夜の時間帯にこなしている方が3人に1人いる、ということです。

身体への影響について、正直に言えること

夜勤や交代制勤務の健康影響については、国際がん研究機関(IARC)が2007年に「発がん性が疑われる」グループ2Aに分類し、2019年の再評価でも同じグループ2Aと位置づけています。乳がん・大腸がん・前立腺がんとの関連を示す研究報告はありますが、現時点では因果関係は確定していません。「夜勤をすれば病気になる」とは言えない一方で、長期的な身体負荷についてリスクが指摘されている、というのが正確な理解です。

また、不規則な勤務に伴う「交代勤務睡眠障害(SWSD)」は、一般人口では2〜5%程度とされますが、夜勤・交代制勤務に従事する人ではより高い割合になる可能性が指摘されています。慢性的な眠れなさや日中の強い眠気が続いているなら、それは体からのサインかもしれません。症状が続く場合は、我慢せず産業医や睡眠外来、かかりつけ医に相談してみてください。


まず職場内でできること。辞める前に試してほしい3つの選択肢

つらいと感じたとき、すぐ「辞めるか続けるか」の二択にしなくていいです。職場内で動ける選択肢が、思ったより存在しています。

1. 夜勤回数の相談・減らす交渉

日本看護協会は「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年公表)の中で、3交代制では月8回以内・1勤務13時間以内・勤務間インターバル11時間以上を推奨しています。これは法的な強制力はありませんが、師長や看護部長との交渉の根拠として使える基準です。

「月○回を超えていて体調が崩れている。ガイドラインの基準まで減らしてほしい」という形で相談することは、決して非常識な申し出ではありません。ナースセンターに登録された看護師の求人倍率は2.51倍(2024年度・日本看護協会集計)という売り手市場で、人材確保が課題になっている職場も多く、相談を切り出す材料にはなります。

なお、このガイドラインは2013年公表で、現時点で大きな改定版は出ていませんが、現場で勤務条件を相談する際の根拠としては今も有効です。

2. 育児・介護を理由にした深夜業の制限

小学校就学前(概ね6歳未満)の子を育てている場合、育児・介護休業法の規定により深夜業(22時〜翌5時)の免除を申請できます(家族を介護している場合も同様の制度があります)。ただし、勤続1年未満の方、深夜に子どもを保育できる同居家族がいる場合などは対象外となることがあります。適用されるかどうかは雇用形態や状況で変わるため、詳しくは職場の人事担当か社会保険労務士に確認してください。

職場の運用によって扱いが異なり、制度があっても使いにくい職場もゼロではありません。ただ、法律上の権利として存在していることは知っておいてください。

3. 部署異動の検討

急性期病棟で夜勤が多い環境にいるなら、同じ病院内での部署異動という手もあります。外来・透析室・外科系手術室補助など、夜勤頻度が低い部署への異動交渉は、退職よりハードルが低い選択肢です。急性期のスキルや人間関係をリセットせずに済む点でも、まず検討する価値があります。


現場コラム|看護師8年で見てきた「夜勤の限界」

私が現場にいたとき、夜勤がいちばんしんどかったのは業務量そのものより「何かあったとき、自分一人だ」という感覚でした。

ある夜、急変が2件重なって、コールが鳴り止まない状況になりました。体は動いているのに頭が追いつかない。夜勤明けに車のエンジンをかけたまま、10分ほど動けなかったことがあります。

あのとき私が職場を離れることにしたのは、弱かったからではなく、そのままでは安全な看護ができないと判断したからです。でも今思えば、もう少し早く「回数を減らせないか」と相談できていたら、判断の余地があったかもしれない。

「我慢して続ける」か「辞めるか」の二択しか見えなくなったとき、人は冷静に考えられなくなります。まず選択肢を知っておくことが、本当の意味で「自分で選ぶ」ことにつながると思います。

※現場での経験をもとに、個人が特定されないよう一部を調整して記しています。


夜勤なしの働き方、正直なメリットと注意点

職場内での工夫を試みても改善が難しい場合、夜勤のない職場への異動や転職が現実的な選択肢になります。ただ、夜勤なし=楽になる、とは一概に言えません。メリットと注意点をセットで整理します。

主な「夜勤なし」の職場

職場メリット注意点
クリニック外来生活リズムが安定する急性期スキルが落ちやすい・土曜診療あり
健診センター完全日勤・土日休みも非常勤求人が多い・ルーティン業務中心
産業看護師平日日勤・残業少求人数が少ない・経験年数を問われやすい
訪問看護やりがい・求人倍率4.54倍(2024年度・ナースセンター集計)24時間対応体制が約9割。夜勤なし≠オンコールなし

訪問看護については、特に注意が必要です。「夜勤がない職場」として紹介されることが多いのですが、訪問看護ステーションの多く(厚生労働省や業界調査では8〜9割)が24時間対応体制を取っています。夜勤という形ではなくても、夜間にオンコール(待機)で電話対応や緊急訪問が発生するケースがあります。「夜勤なし」と「夜間の呼び出しなし」は別物なので、求人を見るときは必ず確認してください。

年収は正直に下がる可能性が高い

夜勤がなくなると、夜勤手当のぶん収入は下がります。夜勤手当は2交代制で1回平均約11,368円(日本看護協会 2023年 病院看護実態調査)。仮に月4〜5回の夜勤がなくなると、年間でおよそ55〜68万円ほど手当が減る計算になります(回数・施設・地域で変わるため、あくまで目安です)。

収入が下がること自体をどう判断するかは、ご自身の生活や価値観次第です。「健康と睡眠を取り戻すことに、それだけの価値があるか」を、数字として見た上で判断してみてください。


転職サービスの正直な使い方

「夜勤なし」の求人を探すとき、看護師転職サービスを使う方が多いです。使い方を知っておくと、流されず自分のペースで動けます。

なぜ無料で使えるのか

看護師転職サービスは、職業安定法の規定により求職者(利用する看護師)から手数料を取ることができません。費用は採用した医療機関が成功報酬として支払う仕組みです(採用年収の20〜35%程度が相場)。無料で使えることは確かですが、「転職を急かされた」という声があるのも事実です。気持ちが固まっていない段階でも登録できますが、担当者からのペースに合わせる必要はありません。

紹介型 vs スカウト型

1社だけに絞ると見られる求人が限られるため、2〜3社に並行登録して比較するのが一般的です(各社で保有している非公開求人が異なるため)。複数の担当者と話してみて、相性の良い人に絞っていくと進めやすくなります。各サービスの特徴と選び方は、看護師転職サービスの選び方・比較にまとめています。


環境を変える選択肢を、知っておくだけでも

夜勤のつらさは、あなたの頑張りが足りないからではありません。夜勤のない職場や日勤中心の働き方も、選択肢としてあります。まずは知ることから始めても遅くありません。

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より詳しい比較は看護師転職サービスの比較記事もご覧ください。

転職が「怖い」と感じたら

「転職したいけど、自信がない」という気持ちは、むしろ現場経験を積んだ人ほど強く感じやすいです。急性期のスキルが落ちるのでは、新しい職場でやっていけるか、というのは正直な不安です。

その不安、否定するつもりはありません。クリニックや訪問看護に移った看護師が「急性期の感覚が薄れた」と感じることは、実際にあります。ただ、スキルは選んだ職場でまた積み直せるのも事実です。訪問看護では病院では得られない「生活を見る目」が育ちますし、クリニックでは外来対応のスキルが深まります。

怖さの正体を「何が不安なのか」に分解できると、対処が見えてきます。転職活動で失敗しやすいパターンと事前に防ぐ方法については、転職活動の失敗と対策に具体的にまとめています。動く前に一読しておくと、気持ちが整理されやすいです。


まとめ|今すぐ決めなくていい。まず「知ること」から

「夜勤がつらい」という感覚は、甘えでも弱さでもありません。60%超の看護師が同じ感覚を持ち、月72時間以上夜勤をこなしている人が3人に1人いる。それがデータの示す現実です。

ただ、つらさの理由は人それぞれです。人手不足なのか、夜勤の頻度なのか、孤独感なのか。その理由を見極めずに動くと、転職しても「また同じ」になりやすい。

まず職場内でできる工夫(回数の相談・深夜業免除などの制度活用・部署異動)を試みること。それでも難しければ、夜勤なしの職場という選択肢を正直なメリット・デメリット込みで検討すること。転職サービスはあくまで「道具」として使うこと。

焦らなくていいです。選択肢を知っておくこと自体が、後悔しない選択につながります。


次のステップ|まず「つらい理由」を一つ書き出す

いきなり大きな決断をしなくて大丈夫です。まずは「自分の夜勤がつらい理由」を紙に書き出してみてください。「頻度」「人手」「健康」「プライベートとの両立」のどれが一番大きいかが見えると、次の一手が自然と絞られます。

そのうえで、状況に応じて頼れる相談先を整理しておきましょう。

一人で抱え込まず、使える相談先から頼ってみてください。


主な参考資料

※統計数値は公表年度により更新されます。本記事は2026年6月時点で確認できた最新の公表値をもとにしています。


執筆者プロフィール

宮田浩行(みやた・ひろゆき)
看護師・介護福祉士。医療・介護現場15年(看護師8年)の経験をもとに、現場目線の医療・介護情報を発信。現在は医療ライター・AI講師として活動中。X(旧Twitter): @miyata8hiroyuki


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